ここまでほんとに、気の狂うような頑張りでここまでこれた…昨日までがどうやったとか、明日がどうとか、違うねん!
今日の試合、この日の試合のために今年1年あったと思ってみんな戦ってくれ。
わかった?
OK?
よし、行こうっ!!!
皆さんご存知の通り、これはあの大洋・横浜史に残る伝説の10.10東京ドーム決戦の試合前、光山コーチによる声出しの一説である。
スポーツドキュメンタリーの金字塔「FOR REAL」屈指の名場面として、皆様の心に刻まれていることは間違いあるまい。
まるで観ているこちらまでがチームの一員であるかのような、その場で円陣の輪に加わっているかのような、かの「ダカールの演説」をも凌駕する名演説であったと断言したい。
この大事な試合前の声出しに光山コーチを指名したのは、恐らくはキャプテンの筒香であろう。担当は違えどそれだけ慕われ、信頼を受けていたということなんだろう。
今年もニコ生でダラダラとキャンプ中継などを観ていると、必ずと言ってもいいほどに陽の傾く最後の最後までグランドに残っているのは光山コーチと捕手陣の姿。
筒香を始め、他の選手達もこの光景を当然見ているはずだし、苦しい練習に明るく前向きに声を出す戸柱らの姿は感動すら覚えてしまう。これも光山コーチの熱意と人柄、その賜物だと考えても間違いはないだろう。
そんな良き兄貴分、光山コーチの尽力もあり、今や12球団屈指の陣容となった感のあるハマ☆ベイキャッチャー陣。
総合力で優れる戸柱に、打撃力に特徴のある嶺井。そして自分が大いに推す「第三の男」高城がいるのである。
「第三の男」などと、何とも失礼な物言いではあるが、それはあくまでもイメージとしての表現であることをお断りさせて頂きたい。
昨年はルーキー濱口の専属捕手として二桁勝利を演出。その前年は悪名高いアノ男の捕手も務めていたように記憶している。
TBSベイスターズの最終年。高校生を乱獲した年のドラフト2位で入団。ペンペン草すら探すのも難しい、核の嵐が猛威を奮った人類滅亡後の世界…
悪魔のようなチーム状況もあり、右も左も分からない高校出のルーキー時代から試合に出続けざるを得なかった辛く厳しい境遇。
そんな高城に手を差し伸べ、可愛がったのは誰あろう、球聖・三浦大輔であり、公私にわたって面倒を見てくれた三浦の教えが、現在の大きなバックボーンとなっていることは想像に難くない。
出番はなくとも、いつも明るくベンチを盛り上げる高城の姿に、時として感動すら覚えてしまうのは果たして自分だけなのか。
この男が「第三の男」から脱却し、とてつもないスポットライトが当たるのは…恐らくはFA権を取得した時なんだろうと。薄々ながら思うのだよ。
この若さでこれだけの試合経験を積んだ、この程度の年俸の捕手なんてどこを探してもいないだろう。
昨年の日本シリーズ。
0勝3敗で迎えた絶体絶命の第4戦。ノーヒットピッチングの好投でチームを救った濱口の投球。
試合が終わり、バッテリーを組んだ高城を迎えた光山コーチの顔は、まるで親子であるかのような、愛情に満ち溢れたものだった。
きっとこの高城が、いっちばん可愛いんじゃなだろうかと
そんなことを思ったんだわ